「選ばれるプロフェッショナル」を考える
ほぼ毎年お盆の時期には帰省などして、東京を脱出していたが、今年は近場で過ごすことにした。東京のホテルに長期滞在して、自分の時間を持ち、プロ野球観戦等好きなことをしつつ、今後のことを睨んで色々と考えていきたい。
先日、独立して15周年を迎えたが、今の仕事を発展させながら、全く新しいこともやっていきたい。このようなご時世ではあるが、そのための先行投資もやっていきたい。もちろん可能な範囲でであるが。
振り返ると、社会人になってからの20年間は、一つの会社ではあるが、営業、現場、人事など5つの部署をほぼ4年周期で変わっていった。いわゆる「ジョブ・ローテーション」は専門性が身につかないということで、ネガティブな文脈で語られることが多いが、社員にとっての能力開発面では、ありがたいしくみだと考えている。
ただ、どこでどんな仕事をしていても、自分の付加価値を高め、組織に貢献する意識を持ち続ける必要がある。業務知識がある、フレームワークが使えるというだけでは、大した価値がない時代に入り、個人や組織(クライアント)の価値をどう高めていけばよいのか、独立前も独立後も常に考えている。
その際に最も参考としたのが、「選ばれるプロフェッショナル」という書籍である。選ばれるプロ人材に必要なのは、深い洞察力があり、共感的に振る舞うことができ、クライアントと協働できることだという。
また、選ばれたプロを広く調査し、具体的に次の7つの特質を抽出している。
1. 無私と自立 :献身的であり、かつ中立を保つ(相手に依存せず、また押し付けることもない)
2.共感力 :心から謙虚に相手を傾聴する(隠れたサインを見逃さない)
3.ディープ・ジェネラリスト :広くかつ深く、独自の知識を身につける
4.統合力 :多視点から全体像を理解し、統合された考え方を持つ
5.判断力 :問題を正しく特定し、経験・価値観を踏まえて健全な判断をする
6.信念 :自分の価値観/信念を育て、強く信じる(自信過剰にはならない)
7.誠実さ :信念に従い、一貫した行動で信頼を得る
体系的かつ簡略にまとめられているが、そこには、広く深い調査に裏付けられて凝縮された重い言葉が並んでいる。中でも、特に「そうだ。そのとおりだ」と感じるのが、「ディープ・ジェネラリスト」だ。
ジョブ・ローテーションで配属された4年間は短いようで長い。それぞれの部署で本気で取り組めば、そこそこの専門家になれる。5つくらい経験すると苦手な仕事もあったが、なんとか勤め上げることで自分の新たな面も発見できた。何にも専門性のないジェネラリストは最低だが、ディープ・ジェネラリストは一つの理想形と言えるのではないだろうか。