これからの人材に必要なのは好奇心と情熱(CQ+PQ>IQ by Thomas Friedman)
今年は、コロナの影響で渡米できなかったが、例年6月後半はアメリカ人材マネジメント協会(SHRM)の年次大会に参加している。過去ヒラリー・クリントンやマイケル・J・フォックス等多くの著名人の講演を聴講したりもしたが、最も印象に残っているのが、2014年オーランド大会でのトーマス・フリードマンの基調講演だった。
トーマス・フリードマンは、2005年に「フラット化する世界」を著したジャーナリストとして有名で、近著に「遅刻してくれて、ありがとう」(邦訳・日本経済新聞出版社)がある。
オーランド大会でフリードマンは、「グローバル(ボーダレス)化とIT化の急速な進展に伴い、我々が住んでいる地球はみんな丸いものだと思い込んでいるかもしれないが、実はフラットになってしまった。フラットになった地球では、モノを作る場所は必然的に生産コスト(人件費)が低いところに集中することになり、それまで生産を担っていた中間層は職を失い、あるいは低い賃金で働かざるを得なくなる。中間層の一部は生産を支配する上流階層に昇る者も出てくる。」と主張した。最後に一言、”Average is officially over.”と言い放って、講演は終了した。日本でも二極化が問題になりつつあったが、その要因をずばり指摘したフリードマンの一言に背筋が寒くなったのを覚えている。
フリードマンの講演で印象に残っている部分は実はそこだけではない。彼は、フラット化する世界で、多くの中間層が下層に落ちる中で、中間層から上流にいくために重要な資質として、「CQ」と「PQ」がなによりも大事だと述べた。好奇心(Curiosity)のCと情熱(Passion)のPのことである。
昨今、知能指数「IQ」よりも、心の知能指数「EQ」の重要性が指摘されているが、さらに進んで、物事に対する「好奇心」と「情熱」を持つことが重要であるとの指摘である。ビジネスの世界だけでなく、子供の教育についても重要な指摘であろう。
自分自身のビジョンを明確に描き、「好奇心」と「情熱」をもち続けて、絶えず実行できること。そのような人は、どんな働き方を選択しても、仕事と人を引き寄せることができるだろう。コロナで時代が変化しても、本質的なことは変わらない。私もこれらを持ち続けてこの変化の時代を楽しんでいきたいと考えている。